2013年7月14日日曜日

第6回「グローバル子育て講座」を開催しました

第6回「グローバル子育て講座」を開催しました。

日時: 2013年7月11日(木)10:30-11:30
天気: 晴れ
場所: 京都市壬生保育所
参加者: 10名のお母さん・妊婦さん、1名の一般参加者、10名の乳幼児、ゲストの張健さん、講座開催にご協力いただいた壬生保育所の鵜川さんと3名の委員スタッフの合計26名


ついに最終回を迎えた「グローバル子育て講座」。猛暑で「来てくれるのかなー」とスタッフが心配する中、たくさんの参加者が集まり、張さんの貴重なお話と参加者からの多くの質問で大盛況でした。

張健さんは、中国・北京出身で、15年前に日本にきました。ブラジル国籍の奥さまと7歳と2歳お子さんのお父さんです。大震災のあった2011年の3月11日朝に張さんの次男が誕生しました。中国に住む両親はとても心配しましたが、生まれたばかりの赤ちゃんのパスポートがなく、取得しようにもまず入国管理局でビザを取得しなければならず、ただちに日本を出国することはできない状況だったそうです。私たちが思いもつかない苦労が、外国籍住民として生活しているとあるようです。

張さんから、中国での出産・子育て、社会事情などについて、たくさんのことを教えていただきました。

中国では選択可能ですが、帝王切開が多いのだそうです。医療機関が少なく、妊婦にあわせていつでも対応できるわけではないので、予定日時を決めることができる帝王切開が一般的とのこと。予定日前日から1週間ほど入院します。自然分娩が選択できる分、日本のほうが恵まれているとお話していました。また最近では、体型を崩さないから、痛みが少ないからという理由でも帝王切開が人気とか。出産後の様子については、昔、中国の生活状況がよくなかったときは、出産後1ヶ月はベッドから降りないように言われていたそうです。体のいろいろなところが変化しているので、冷たい水を浴びると関節が悪くなる、とシャワーやお風呂は我慢。今はシャワーから温かい湯が出るので状況は変わってきているよう。中国では母乳をよく出るようにと、よく煮込んだ鮒や鶏の白い色のスープを食べるそうです。また、冷たいものは食べません。


生まれた子の世話は、母方の祖母がすることが多く、また、中国には「家政業」という仕事があり、子育てを専門とする家政業者は家事のみの業者より高給だが、よく利用されているとのこと。中国は共働きが一般的(共働きという言葉がないくらい当然)で、給料にはそれぞれのもの。産休は半年間、妊娠8ヶ月まで働き、出産してしばらく休んだら復帰します。日本では子育ては母親の仕事、という認識が自他ともに強い傾向がありますが、中国はそうではないようです。

中国の子どもは小学校入学までに500位漢字が書けるとのこと。張さんは家庭内では日本語で会話。長男の日本の小学校での漢字学習ペースだと少し心配になるそう。年に2回の北京帰省時は子ども達に中国語スイッチが入る様子。毎回3週間ほどの滞在なのですが、1週間くらいで慣れて、2週間目はけっこう分かる、3週間目は自然な会話ができる、でも日本に帰るとポンっとスイッチが戻って、中国語を使わなくなる、ということで、もっと長く滞在して中国語力を定着できないことが残念だそうです。

お話後には、参加者からたくさんの質問がありました。記事の最後にまとめてありますので、ぜひご覧ください。また講座後に有志でランチ会が開催され、京都での外国人とのエピソードや子育て情報などが和やかにおしゃべりされました。

京都市未来まちづくり100人委員会の「外国人にとって住みやすいまち京都」チームが描くビジョンは、「多様性x 交流 ⇒ 個人・地域に活力!誰もがごきげんさんに暮らせるまち京都」です。特に、外国籍住民にも、乳幼児の子育て中の親にも、活躍の場があり、さまざまな住民の個性・文化紹介や交流の機会が日常になっていること。そんな場から、多様な価値観や考えに触れた子育て世代が育まれ、その各親から子ども・家族・地域コミュニティーが育っていくこと。小さな積み重ねから10年後、20年後の多くの日本人の心が、外国籍住民など、言葉や文化の違う人、また、価値観の違う人、高齢者、障がい者、子どもなど、すべての人に心が開かれていることです。

全6回の「グローバル子育て講座」は、多文化共生社会の推進に貢献し、多様性に富んだ京都の魅力を充分に味わうきっかけになりました。いろいろな価値観に出会え、つながりのあるコミュニティーは、誰にとっても住みやすい活気ある地域社会だと私たちは考えています。

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参加者からの質問
Q1:中国で漢字を覚えるときに、アイウエオに相当するものはありますか。
A1:音から暗記させる。子供は賢いので大人が2~3回言ったことはすぐに覚える。音と漢字とピンイン(中国の漢字の読み方のローマ字表記)を勉強させる。本を買い与えて1日1ページとか勉強させる。
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Q2:中国でも早期教育はありますか。
A2:ピアノや二胡を習ったりする。日本の幼稚園に近い環境。送り迎えは祖父母が多い。
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Q3:中国の定年はいくつですか。
A3:地域により差はあるが、概ね男性60歳、女性55歳。人員削減のときは、男性55歳、女性50歳とされる場合もある。中国の就業体制は日本と違い、夫婦の仕事や給料はまったく個別。妻のほうが高給ということもままある。
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Q4:なぜ女性の方が定年が早いのか。
A4:中国では雇用の創出が進んでおらず、働き口が少ないため、若い人が働けるよう、新陳代謝を早めようという制度。また、退職後は働きたくない、孫の世話をしたい、という意識もある。その後孫の面倒を見るなど、退職後の人生を楽しんでいる。早朝の公園で太極拳や社交ダンスに熱心なシニアが多い。
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Q5:中国の幼稚園で子供の面倒を見てもらえる時間は。
A5:朝8時半か9時から午後5時くらいまで。日本の幼稚園より長い。保育所に近いイメージ。なお、中国に保育園はない。
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Q6:幼稚園は、公立と私立のどちらが多いのか。
A6:公立の方が多い。中国の戸籍制度では、都市戸籍と農村戸籍というのがあり、都市戸籍を持っていないと都市には住めない。都市への人口流入を防ぐための制度。近年、出稼ぎで都市に移住する人が多いが、都市戸籍がないと保険や年金に加入できないため問題視されている。公立の幼稚園にももちろん入れない。そこで、都市近郊の農村で暮らして都市で就労するのだが、そういう家族のために民間の託児所などが作られている。日本の保育所はすばらしい。設備がよい。中国の幼稚園には扇風機も足りていないし、遊具も少ない。
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Q7:北京では大気汚染がひどいようだがどう対策をしているのか。
A7:マスクをするが、面倒がる人も。北京の大気汚染は気候の影響が大きく、冬は昼でも氷点下なくらい寒さが厳しいため、都市部のマンションでは集中暖房、平屋では練炭ストーブで暖をとる。その煙や、自動車の排気ガスで曇る。雨や風だと空気が動くので大丈夫だが、空気が停滞するとひどい。子供を外で遊ばせられない。遊ぶ場合はマスク着用。
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Q8:北京で走っている自動車の種類は。
A8:フォルクスワーゲン(ドイツ)、ヒュンダイ(韓国)、日本車が一般的。ただし、現地生産である。
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Q9:離乳食で中国らしいものは。
A9:子供用と大人用の食事は別に作る。子供用は口に入れたら溶けるくらいやわらかく。そうめんを煮込んで、トマトと卵を炒めて作ったスープをかけて食べる。茶碗蒸しもよい。
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Q10:北京は粉料理が多いと聞いているが。
A10:水餃子をよく食べる。皮や餡から作る。煮込むと手作りの皮がつるっとしてきて食べやすい。子供も大好きである。余った水餃子は油で揚げたりして食べる。
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Q11:外国人の子供が集まる場所はあるか。
A11:国際交流会館の「ホッとチャット」、ほっこりはあと出町「ジャフォール」など。
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Q12:夫婦げんかしたときの仲直り方法は。
A12:子育てと仕事で忙しくけんかする暇はない。もし妻との雰囲気が悪くなったら適度なところで逃げる。
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Q13:京都で中国の料理を味わうために行くレストランなどはあるか。
A13:日本の中華料理は日本人用にアレンジされている。東大路四条を南に下がって西に入ったところに「好来屋(こきや)」という店、四条大橋そばの「東華菜館」や、四条河原町下がるの「桃園亭」など。
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Q14:「いないいないばぁ」に相当するものはあるか。
A14:子供をあやすときは、顔を両手で隠して、手を開きながら「めっ!」(?)とかやる。
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Q15:よく料理するとのことだが、どのような料理を。
A15:中華料理。食材を油で炒めることが多い。塩、しょうゆ、料理酒、ごま油で味付け。これがあれば十分。基本的に食べ物には火を通す。たまに刺身を買ったり、寿司を食べることもある。
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Q16:共働きについて。
A16:夫婦両方働くというのは中国では一般的な考え方。男女で仕事の内容に差はない。男女平等の考え方は中国の方が日本よりも進んでいる。もちろん相手の収入により、専業主婦・主夫という道もある。
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Q17:晩婚化という現象はあるか。
A17:中国では法律上の婚姻年齢は男性23歳、女性21歳(?)だが、晩婚化の傾向も見られる。また、結婚しない女性もいる。仕事ができすぎる故に結婚が難しいことも。結婚しても、夫が「専業主夫」というケースもある。子供を作らず、2倍の収入で夫婦二人楽しむという生き方もある。
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2013年7月9日火曜日

第5回「グローバル子育て講座」を開催しました


第5回「グローバル子育て講座」を開催しました。

日時: 2013年7月8日(月)10:30-11:30
天気: 晴れ
場所: ほっこりはあと出町
参加者: 26名の一般参加者・パパ・ママ、18名の乳幼児、2名の委員スタッフ、計46名

Jafore 日本語を母語としない家族のための子育て支援チームが毎月開催する「多言語子育てひろば」と、京都市未来まちづくり100人委員会とのコラボ企画、第二弾です。アメリカ出身のお父さん、中国出身のお母さんも一緒に、子ども、子育て環境などについて話が盛り上がりました。


はじめに、"Hello to All the Children of the World" という歌をうたいました。この歌の歌詞には、9カ国語で「こんにちは」が入っています。外国から来た方に、出身地域のあいさつをするととても喜びます。あいさつは会話を始めるきっかけになりますね。


今回は、カナダ在住で今、調査のために京都に滞在している高柳さんに、「カナダと日本の子育て比較」のお話を英語でしていただきました。(委員が通訳。)

カナダの男性は、子育てにできる限り長い時間関わるようになってきてはいますが、仕事がメインという考え方も多いとのこと。また、共働きが多く、家事は外注する家庭も多いよう。週末は家族全員ですごすそうです。

日本は幼稚園・保育園と区別して利用しますが、カナダでも同じように就学前の施設としては、プリスクールとデイケアがあるそうです。一般的に就学は5歳、キンダーガーテン(幼稚園)からで、小学校1年生の前の年にあたります。

伝統的に個々の家庭での子育ての選択を重視しているカナダでは、デイケアに対しての政府の援助があまりないため、日本と比べると費用が高いそうです。そこでナニーを雇うという選択肢もあるそうです。
ナニーとは、乳母のようなもので、ベビーシッターよりも長期間、密接に関与します。決して子育てをナニーに任せっぱなしにするのではなく、親がしつけや教育方針を指示しますが、子どもが両親よりもむしろナニーになついてしまうこともあるそうです。
ナニーの担い手は、バンクーバーではフィリピン人、NYではジャマイカ・ブラジル・香港の人々など。カナダでは、2年間ナニーとして住み込みで働いたら移民ビザの申請が可能になるそうです。

参加者からは、「ナニーに任せてしまって不安はありませんか?」との質問がありました。
カナダではナニーに子育てや教育の資格や認証はないが、それは親も同じこと。ナニーは母親代わりのようなもので、教育を受けさせたいならデイケアーに任せる。もちろん契約時に任せて良いものかチェックはする、とのことです。

世界を見ればいろんな価値観と子育ての方法がありますね。カナダでの子育て事情の話を聞いて、いろんな方法の中から自分で選んで子育てができることに気づきました。多様な価値観が認められて尊重される社会は、誰にとっても住みやすいまちになっていくでしょう。

会の最後には、インドネシアの言葉で1から10の数え、台湾の絵本の読み聞かせがありました。中国出身のお母さんに、「媽媽在哪裡?(ママはどこ?)」を読んでいただきました。

2013年7月7日日曜日

第4回「グローバル子育て講座」を開催しました



日時: 2013年7月4日(木)10:30-11:30
天気: 曇りのち雨
場所: 京都市壬生保育所
参加者: ゲストのタカノさん、8名のお母さん・妊婦さん、8名の乳幼児、一般参加者3名とスタッフの2名の合計22名。

ボン・ヂーア!(Bom dia) とポルトガル語の朝のあいさつで始まった、第4回目の「グローバル子育て講座」。今回のゲスト、タカノ・ヴィオレッタ・ミサキさんは、ブラジル、アマゾン出身の日系2世で、15年前に留学で来日されました。学生時代に知り合った中国・北京出身の張健さん(次週講座のゲスト)と結婚、6歳と2歳のお子さんと伏見区向島にお暮らしです。

まずはブラジルの写真や童謡(ネコの歌)を紹介してもらい、そして様々なアマゾンの日用品や土産物 を触らせてもらいました(アマゾンの香草、ひょうたんで作った倒れない器、種のネックレス、雨の音のする楽器(参加の赤ちゃんたちにも好評!)、ピラニアの剥製など)。

タカノさんは、母国流、日本流、中国流、それぞれの良いところをとって子育て楽しんでいる様子でした。

アマゾンでは、ほとんどの部屋でハンモックをつるせるようになっており、子育てにもこのハンモックが欠かせないそうです。母子または赤ちゃんだけで日中のほとんどをゆらゆらしながらのんびり過ごします。ブラジルのハンモックは大型で、横たわる時の角度を工夫するので、寝がえりしても落ちず、ハンモックの半分が上布団がわりにもなるとのこと。

ブラジルでの離乳食は、バナナ、パパイヤ、アボカドなどの(田舎では自宅の庭に生えている)果物をつぶして食べさせるそうです。タカノさんには、離乳食は甘いもの、というイメージがあったので、日本の育児雑誌に“南国の食べ物はアレルギーの心配があるので控えること”、“シラスや納豆も与えましょう”、と記載されていて驚いたそうです。

また出産事情について、ブラジル都市部では帝王切開がほとんどとのこと。妊婦健診回数も少なく、出産後一泊だけ入院して帰宅するそうです。田舎では現在も妊婦健診うけず、陣痛が始まったら産婆さんを呼ぶとのこと。医療が整っていないために、より安全で確実に子どもを産む方法が帝王切開であり、365日24時間出産できる日本は先進国ですね、と話されました。

ブラジルでは、妊婦も立ったばかりの赤ちゃんも大音量の音楽のなかサンバのステップを踏むとのこと。また、妊娠出産で仕事を辞めることもないそうです。保育所は整っておらず、ベビーシッター、おじいちゃんおばあちゃんにお願いすることが多いようです。幼稚園は富裕層だけが利用しており、大学の学費よりも高い費用がかかるそうです。都市部の子どもは町の中で自由に遊ぶことはあまりなく(誘拐などの危険が多いため)、親子で有料の公園などに行ったりします。

参加者からの質問も、父親の育児参加や、社会の子どもに対する態度など、様々ありました。ブラジルではレディーファーストが徹底していて、独身時代に男性は女性に尽くし、女性も大変プライドが高いそうです。結婚後は、家庭内では夫は保守的にふるまい、妻に育児を任せますが、家族で外出時には夫が妻や子に甲斐甲斐しくサービスするとのこと。ブラジルの航空会社ではキャビンアテンダントはほとんど男性なのだそうです。

他の文化や習慣について知ったり考えることは、自身の子育てや地域を考え直す機会にもなりそうです。きっと子育てには、「これ!」というひとつの方法なんてなく、世界を見れば、まったく違う価値観や子育ての方法があるんですね。参加者からも「ところかわれば、いろいろ変わるんだなと思った。」「他国の出産・子育て事情も知りたい。」「もっと京都のお母さんたちの活動を知りたい。」「異国での夫婦の関係性や料理などの話は独身者にも興味深い。」といった感想をいただきました。

なお今回タカノさんには、「京都市国際交流会館」の“タブサポ”事業(http://www.kcif.or.jp/interactsupport/homes)を通じてお越しいただきました。地下鉄東西線の蹴上駅に近いこの会館は、国際交流や多文化共生の推進、外国籍住民の生活サポートをしています。今回講座の参加者で、この施設自体を知らない人も約半数。“子育て”というキーワードから、今まで国際交流などに関心がなかった方にも、京都にすんでいる外国籍住民について知ってもらったり、より色々な視点から日本の子育て環境を考えてもらったりする機会を提供できたようです。

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今後の講座の予定です。

対象:  
☆ 乳幼児の子育てをしている方 (お子さん同伴歓迎♪: 保育はつきません、おもちゃは多数あります。)
☆ 国際交流、多文化共生、京都市での子育てに関心がある一般の方。

時間: いずれも10:30~11:30 (開場10:00~)  参加費: 無料   事前申込: 不要
会場 ・ 開催日 ・ ゲスト出身国

ジャフォール 多言語子育てひろば 【上京区、ほっこりはあと出町(葵橋西詰)和室】地図
  7月8日(月) 日本カナダ子育て比較研究者、中国出身ママによる絵本の読み聞かせ、

ひだまりコーナー 【中京区、京都市壬生保育所(姉小路通西大路東入る)】地図
  7月11日(木)  張健さん (中国出身のお父さん)

お問合せ: 吉永 (第4期 京都市未来まちづくり100人委員会 委員)
        電話:090-1711-1307 
        Eメール: hatmiu★hotmail.com (★を@に変えてください。)